老犬虚に吠えず

社会問題について考える場として

2022-01-01から1年間の記事一覧

『信教の自由』が守られるという事は・菊池真理子『「神様」のいる家で育ちました 〜宗教2世な私たち〜』を読む

多分、日本人の多くは『信教の自由』というものをあまり意識せずに暮らしている。 信仰とは親から引き継ぐものであって、それは「どこかの寺の檀家である」とか「先祖代々の墓がどこにあるか」とか「葬儀を頼むのはどこか」といった事柄以上の意味を持たない…

カルトがはびこる今だからこそ・奥田知志『ユダよ、帰れ』を読む

今この時に、本著に触れる事ができて良かったと思います。 カルトがはびこり、宗教全体が社会から疎まれかねない中で、人々の生きる助けとなるために聖書の言葉を読み解いて行くという姿勢が貫かれている本著は、キリスト教の説教集という枠を越えて多くの人…

同じ色の血が流れているからこそ・小泉悠『ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』を読む

ウクライナで戦争が始まってから3ヶ月が経過した。戦争と言っても、ロシアのプーチン大統領はこれを戦争だとは認めていない。その異様な『特別軍事作戦』は、これを書いている2022年6月1日現在もまだ続いている。 ロシアに対するイメージは、このウクライナ…

他ならぬ自分自身に向けられた刃として・平井美帆『ソ連兵へ差し出された娘たち』を読む

『ソ連兵へ差し出された娘たち』という言葉が持つ重み。それは自分の胸を強く叩く。そして自分もまた加害者なのではないかという疑念を強く抱かせる。 このドキュメンタリーは言ってみれば『告発』なのだと思う。平井氏の取材に応じた当事者の方々はあくまで…

『シン・ウルトラマン』に寄せて (※ネタバレあります)

『シン・ウルトラマン』について。 ネタバレだらけなので未見の方は読んじゃダメですよ。 来ちゃった。これから観賞します。 pic.twitter.com/27jdocRzJb— 黒犬 (@kuroinu_2501) 2022年5月20日 『シン・ウルトラマン』観てきたよ記念その2。スペシウム光線『…

キャンセルカルチャーの危うさを考える・その『正しさ』はいつまで正しいのか

前回からの続きとして。 kuroinu2501.hatenablog.com 自分がいわゆる『キャンセルカルチャー』つまり特定の人物や思想、価値観を『排除』して行く事によって『より良い社会』が作れるだろうという考え方を受け入れ難いのは、その何かを排除して行く、或いは…

キャンセルカルチャー=排除はより良い社会を作れるか

『情況2022年 4月号』を興味があって、読んでみた。特集はキャンセルカルチャーについて。この問題について釈然としないものを感じている人、感じた事のある人は読んでみると良いかもしれない。 キャンセルカルチャーという言葉について考えてみる時に、まあ…

ウクライナ侵攻でさえ『感動ポルノ』にする自分達の『卑しさ』

貴方は、2日で100kmを歩いた事があるだろうか? 自分はある。20年以上前、自分が高校生くらいの時だった。 なぜ? とか、何のために? といった理由は無い。しいて言えば、当時の自分はボーイスカウトで、その活動の一環だったというだけだ。ボーイスカウト…